バランスについて(定義、分類、病態、構成、理学療法、アプローチ)について

  1. バランスについての理学療法のレポート公開していきます^^

では行きまーす♡

バランスについて

定義・分類

バランスとは、「重力をはじめとする環境に対する生体の情報処理機能の帰結・現象を指す」と定義され、支持基底面に重心を投影するために必要な平衡に関わる神経機構に加えて、骨のアライメント、関節機能、筋力などの要素が含まれるとされる。平衡機能とは、「種々の運動や行動に伴う姿勢を維持・調節するために必要な神経機能を指す」と定義され、重力を含めた外力に対する反射的・反応的・予測的な要素を含み、先見的機能とともに学習によって獲得される要素があるとされる。
バランスと平衡機能とは、非常に似通った用語であり、ときとして混同されることがあるが、バランス能力は、平衡性、柔軟性、瞬発性、持久性などの要素を統合した能力としてとらえる必要があることにより、平衡機能を含めた広義の能力としてとらえることが重要となる。
バランス能力は、一定の肢位を保持し続ける静止的姿勢保持能力、同一支持基底面内で随意的に重心をコントロールする動的姿勢制御能力、そして、支持基底面を変化させながら一定の課題を随意的に行うパフォーマンスに分けられる。

バランス障害の病態

臨床で観察されるバランス能力の低下は、中枢機能の中の平衡機能障害、末梢からの固有感覚障害、姿勢コントロールに必要な筋骨格系の障害などがある。代表的なものとして、脳卒中片麻痺に伴う脳幹を中心とした平衡反射障害、筋緊張、感覚障害、運動障害、小脳性運動失調症に伴う立ち直りの障害、前庭感覚異常に伴う平衡機能障害などがある。また、末梢神経障害に伴う体性感覚障害による平衡障害、パーキンソン病による固縮・無動、骨関節系のアライメント異常などによっても障害される。
バランス能力を低下させる病因は、単にバランスのみを低下させるだけでなく、その他の感覚障害・運動麻痺を伴わせるため、病態を明確にとらえることは、その他のアプローチにも影響するものである。

バランスを構成するもの

1、筋骨格系
バランスの基本は、鉛直姿勢を維持することである。関節可動域制限や筋力低下があれば、姿勢制御を行うための動きを制限する。足関節背屈制限がある場合の立位姿勢では、下腿が後方へ押し出され、筋骨格系の影響で臀部を後方に引けてしまう。そして、安定性を得ようとするため(身体質量中心の位置を支持基底面内に保持するため)に、体幹は前方へ傾斜する。このような姿勢制御をクラインフォーゲルバッハの運動学的にみると、カウンターウエイトを活性化させた姿勢保持であるといえる。カウンターウエイトを活性化することが優位な状態では、合目的的な動作の遂行がバランス維持のために制限されて、画一的な動作パターンになる。言い換えれば、状況に応じて安定性を得ることができないことや、連続的な動作の切り替えには不適切な状況であると考えられる。このように、筋骨格系の障害は、鉛直姿勢を保持するために身体体節間を相互的に変化させ、結果的に状況に応じた安定性を減少させる要因である。

2、感覚処理過程
ある姿勢を保持していることは、環境に関わる情報が視覚系・前庭系および体性感覚系からの感覚入力として中枢神経系に伝達され、脊髄から大脳皮質までに至る種々のレベルにおいて統合され、姿勢を保持するための運動出力が筋群に伝えられておこる。我々の立位姿勢では、主な感覚入力は床面と接している足底部の体性感覚である。足底の感覚障害がある場合では、立位保持や歩行が著しく障害される。中枢神経機構の統合処理には適応性があり、足底感覚障害がある場合では、前庭系が定位の機能を果たすようになる。ある感覚が、身体位置を最適な情報あるいは正確な情報として供給できない環境では、定位情報としてその感覚に与えられる貢献度は減少する。一方、相対的に正確な他の感覚に対する貢献度増加する。そのように姿勢制御に関する感覚処理過程において、中枢神経が相対的重要性を修正する能力をもつことは、変化に富む環境下を保つことに貢献すると考えられている。

①体性感覚入力
これは支持面を基準とした身体節相互の位置関係の情報を中枢神経系へ送る。体性感覚には、関節と筋の固有受容器、皮膚感覚、圧感覚の受容器が含まれる。正常な状態で、しっかりとした平坦な面に立っている場合には、水平面に関する自分の身体位置と運動に関する情報が体性感覚受容器により与えられる。

②視覚入力
視覚入力は姿勢制御にとって重要な情報源であるが、絶対的に必要ではない。視覚は、特に支持基底面が不安定な時に重要な役割を果たす。視覚入力は鉛直方向に対する相対的な情報を提供し、頭部の位置と運動に関する情報を提供している。

③前庭入力
前庭系からの情報は、身体の定位に関する情報の重要な源である。前庭系により中枢神経系は頭部の位置と運動についての情報を得る。前庭系からの信号のみでは、空間で動いている身体の状態について真の姿を中枢神経系に提供することはできない。
たとえば、中枢神経系は前庭入力だけでは、体幹固定しての頭部の屈曲か、体幹と頭部が同時に屈曲しているのかを区別することはできない。
3、中枢神経機能の統合処理
ストラテジーとは環境に適応するための戦略を意味し、目的を達成するための中枢神経系のプランやプログラミングである。この戦略はフィードバックもしくはフィードフォワードの両方の制御で行われている。
Horakは、立位姿勢中に床面を前後移動させて、その際の姿勢応答と筋活動リクルートメントパターンを検討している。床面を前後移動させた外乱を与えた時の姿勢応答には、足関節ストラテジーと股関節ストラテジーがある。大きな床面のとき(安定している時)には主として足関節ストラテジーを、狭い床面のとき(不安定な時)には股関節ストラテジーを生じる。足関節ストラテジーは、前方への不安定性に対する応答として、腓腹筋、ハムストリングス、脊柱起立筋の順に遠位筋から近位筋への筋活動パターンを示す。後方への不安定性に対する応答として前脛骨筋、大腿四頭筋、腹筋群の順に遠位筋から近位筋へ筋活動パターンを示す。一方、股関節ストラテジーは、前方への不安定性に対する応答として、腹筋群、大腿四頭筋の順に近位筋から遠位筋へ筋活動パターンを示す。後方への不安定に対する応答として、脊柱起立筋、ハムストリングスの順に近位筋から遠位筋へ筋活動パターンを示す。足関節ストラテジーが生じる場合は、足関節底屈トルクを発揮させ前方剪断力を抗して、支持基底面内に身体質量中心を保持している。反対に、股関節ストラテジーが生じる場合では、足関節トルクが発揮できず前方への剪断力に抗しきれず、これを補償するために体幹を大きく前傾して支持基底面内に身体質量中心を保持している。このような事から、足部の筋力低下や柔軟性低下がある場合には、足関節トルクを発揮させることができず、股関節ストラテジーを利用する傾向が大きいと考えられる。また、感覚情報の違いによってもストラテジーが変化することが言われている。足関節ストラテジーは体性感覚入力が正常であり体性感覚に依存して身体の支持面に対する相対的な空間位置の獲得している場合に効果的に利用される。股関節ストラテジーは、前庭機能を主として空間位置の獲得に利用されている場合に効果的に利用される。その他、姿勢の不安定に対する応答は、このような決まりきった共同機構ではなく、動作経験の有無や、意図・意思・目的や、動作開始前アライメント、そして支持面の形態で変化することがわかっている。

バランス改善の理学療法

現時点でのバランス改善に関するシステマチックレビューを整理すると、①バランス向上(転倒予防)に運動療法が効果的とする報告が多くある、②運動療法の内容は、バランス運動、筋力増強運動、柔軟性改善運動、持久性運動など多様である、③太極拳が転倒予防に効果的であるとする報告が多い、④運動療法の効果を認めた報告には難易度を調整したものが多い、⑤バランスの改善に効果的な運動種目、運動強度、頻度、期間については定まっていない(効果を認めたものには、1日1時間程度、週2~3回以上、2~3ヶ月以上継続した報告が多い)などに集約できる。運動療法はバランス能力向上に効果があるとされるが、具体的な運動療法や理学療法介入方法については今後の課題と言える。
バランス能力の改善には、平衡機能、筋機能、骨関節機能、感覚機能、認知機能など、バランス能力を構成する個々の要素の機能向上が寄与する。lkezoeらは膝関節伸展トルク値1.28Nm/kgが、高齢者の転倒群と非転倒群の判別のカットオフ値となりえることを報告している。この結果は、膝関節伸展筋力が一定値より下回る場合は筋力低下がバランス能力低下の原因となりうること、そしてバランス能力の改善には低下している要素の機能向上が必要になることを示唆している。他のバランス能力を構成する要素についても同様な考え方が可能であり、バランス能力の改善には平衡機能、筋機能、骨関節機能、感覚機能、認知機能などの向上を図る必要があると思われる。
バランス能力を構成する個々の要素に機能の低下があっても、動作を実行するなかで要素間の関連性の再調整や課題や環境との適応過程によりバランス能力は改善する。これは神経系の可塑性、自己組織化、運動学習過程などにバランス能力改善の機序を求めているおり、課題指向型アプローチはこの考え方に相当する。課題指向型アプローチでは課題の選定が重要になるが、ここでもバランスの3つのレベルに沿って、対象者のバランス能力レベルより少し難度の高い動作を反復練習することが運動療法の基本となる。
安定性限界と重心動揺との関連では、安定性限界が大きく相対的に重心動揺が小さいほどバランスは良いので、バランス能力の改善には基本姿勢や動作の中間的姿勢における重
心移動練習が重要と考えている。安定性限界の増加とともに、大きな重心移動から細かい重心移動を行う練習、快適な速度の動作からより遅い動作や速い動作などに動作の速度を変え、適応力を高める練習も多用している。
バランスの改善では、バランス能力の改善に加えて、生体力学的・情報処理的にバランスを高める方法を導入する。動作方法の変更、弾性帯を関節周囲に捲くことや足底板の材質による感覚情報の増大、靴や足底板によるアライメントの調整、手すりの設置などが含まれる。これらは転倒予防の介入方法とも一致する。

バランス能力改善へのアプローチ

1、バランス能力改善のための課題の難易度について
経験的には、動作を繰り返すことでバランス能力は改善する。この変化は課題や環境に対する身体の適応能力が前提となっている。理学療法士には、自然回復や生体の適応力をより効果的に患者の障害改善に結びつけるために、適切な目標の設定、目標を達成するための方略や課題の選定、プログラムの作成、練習実施中に適切な介助・誘導・結果のフィードバック・心理的支持をする役割がある。
筋力の向上には最大筋力の40~50%以上の筋力(少し重い~重く感じる位の抵抗)を発揮するような運動、柔軟性の改善には少し痛みを感じる程度のストレッチ運動、持久性の向上には最大酸素摂取量の50~60%程度以上(少しきつく感じる程度:主観的運動強度11~13)の負荷量が必要とされる。これらは、身体能力の改善には運動に伴う負担を感じる程度の負荷強度が必要なことを示している。類推すると、バランス能力の改善には、対象者にとってやや難しい程度の動作課題(動作の種類,動作実行の条件・環境)を用いてバランス練習を行なうとよいと思われる。
バランスの難易度は、課題動作の重心の高さ、支持基底面の大きさ、重心移動の有無、支持基底面の変化の有無、視覚条件、同時に遂行する課題数、環境条件などによって変化する。対象者のバランス能力を評価し、これらの条件を調整することで、対象者にとって適切な難易度の課題を設定することが、バランス能力改善の一つの条件であろう。

2、バランス改善のための運動療法の方向性
バランス能力改善の運動療法の基礎は動作の繰り返しによる運動学習に求められる。運動学習によりバランス能力を改善するためには、対象者が適切な姿勢のアライメントや動作のタイミングを永続性のある身体感覚として記憶できるように、練習課題や練習方法を工夫することが必要である。運動療法の方向性としては、姿勢保持や運動時の安定域を広げること、姿勢保持や運動時に身体重心を静的・動的な安定域の中央付近に位置させること、バランス能力に関する身体要素の強化を図ることなどが挙げられる。
理学療法士は介助や身体操作(ハンドリング)によりアライメントや動作のタイミングを直接操作すること、指示や物を用いて間接的に誘導すること、指導や教育により行動変容を図ることなどを通して、対象者の運動学習やバランス能力に1関連する身体要素の強化を促すことができる。実際の運動療法の場面では、動作の開始姿勢、終了姿勢、およびポ
イントとなる中間姿勢での重心移動練習、各姿勢間の姿勢変換の反復練習、動作全体の反復練習などを中心に行なっている。

3、バランス能力の訓練方法
先行研究においてはさまざまな訓練方法が試みられている。
「単独運動」による訓練としては、片脚起立訓練、太極拳、足指訓練、ボール体操等があり、それらの有用性に関して多くの報告がある。またその他にも、両側分離型トレッドミル、足踏み訓練器、乗馬ロボット等の研究報告もみられている。
一方それらを組み合わせた「複合運動」による訓練の報告も多く、「筋力訓練」および「バランス訓練」を柱として、柔軟体操、歩行訓練各種あそび感覚のゲーム他を加えた多様なプログラムがあり、いわゆる健康教室、転倒予防教室等の現場にて広く実施されている。
先行研究におけるバランス訓練の方法は、各施設、研究者によりさまざまであるが、それぞれの方法同士を比較検討した研究はみられず、個々の方法においてそれぞれ有効性が認められるとの研究結果がほとんどである。

1、片脚起立訓練
dynamic flamingo(DF)訓練とも呼ばれ、場所を選ばない非常に簡便な方法である。
A、方 法
机の前か横に両脚で立ち、片脚を軽く上げ片脚で立つ。1分間この姿勢を保持し、これを右、左で1日3回(朝・昼・夜)施行。これを6ヵ月間継続する。
B、効果
その結果、開眼片脚起立時間(秒)は延長し(DF群65秒、non-DF群34秒)、転倒回数は減少した(DF群9回、non-DF群45回)。
またその他の効果として、骨密度の増加、および骨盤周囲筋(中殿筋)の筋力増加も認められた。

2、太極拳
太極拳は紀元前8~5世紀にルーツを持ち、龍、虎、豹、蛇、鶴の動きが基本となった護身術がその前身である。「気」を体に流して、全身の経路を刺激し、心と体を一緒に健康にする健康法とされている。1956年、太極拳本来の108の型から、短く(15分間)学びやすい「簡化太極拳」(24型)が制定され、世界中に広く普及するようになった。動作は軽く、柔らかく、円く、途切れることなく、自然な呼吸で行う。
A、方 法
「簡化太極拳」(24型)
#1起勢(チシ)から始まり、#24収勢(シォウシ)に終わる合計24の一連の動作であるが、これを週1回で5ヵ月間指導し、かつ週2回以上の自主練習を課した。
B、効果
開眼片足立ち持続時間(秒)は、右側では、太極拳前が16.02秒だったものが太極拳後には18.99秒に、そして左側は太極拳前が18.48秒に対し太極拳後は21.23秒半、それぞれ延長した。またFunctional Reach Test(cm)も増大した(太極拳前22.36cm、後24.83cm)。
その他の効果では、握力(筋力)の増加、10m歩行速度(歩行能力)の向上、立位体前屈(柔軟性)の向上も認められた。

3、足指訓練
多くの手法があるが、タオルギャザー、足の指・アーチの手入れ等の足指、足底の感覚を刺激する訓練である。
A、方 法
独自の足指運動訓練器(足指で器械の“軸SVを回転させ、その回数をカウントする)を作成し、座位にて、左右各1回300回転、1日2回、週3回で、8週間施行させた。
B、効果
その結果、動的バランスを評価するために独自に開発した不安定板にて、30秒間に6度以上傾斜させることができた。すなわちコントロールできた回数は有意に増加した(訓練前111.7回、後120.0回)。
その他の効果として、膝関節伸展筋力の増加が認められた。

4、ボール体操
ボールを用いた体操療法は、1960年代にスイスにて考案されたが、45~85cm程度のボールに乗り、弾む、転がるという特性を生かし、上下、左右、その他多種の運動を行うものである。
A、方 法
転倒予防教室にて週1回、1時間15分のボール体操を1年間継続させた。プログラム内容は、ウォーミングアップ15分、エアロピックパート45分、クールダウン15分とした。
B、効果
重心動揺(総軌跡長・30秒間)は、閉眼時で開始後1年時に有意(p<0.05)に低下し、重心動揺(標準偏差面積・30秒間)は、開眼・閉眼時ともに開始後1年時にて有意(p<0.01)に低下した。またその他の効果として、歩行能力は歩行解析の結果、開始後1年で歩幅は9.4%、加圧面積は19.5%、加重は47.5%、それぞれ改善が認められた。

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