動的関節制動訓練(Dynamic Joint Control Training)について

動的関節制動訓練(Dynamic Joint Control Training)とは

・概念

股・膝・足関節などの下肢関節の構成体の内部および周囲には、諸種の関節受容器が存在することが、人・動物における組織学的研究や電気生理などの基礎実験により明らかにされている。これらの関節受容器は、関節の空間的位置覚や関節の動きの変化、加速度に関する運動覚と関節包、靭帯、筋、健の緊張度合いなどを感知するものと考えられている。下肢の各関節の肢位が内・外力によって移動変化させられると、その変化の状況と程度などの情報を固有受容器がすばやく高次中枢へ伝達し、次に関節周囲筋群に入り効果的に制御するというフィードバック回路の情報入力部分を形成している。刻々と変化する下肢の状態を情報処理し続けることで、生体は身体の安定性を保持しつつ、連続性のある動作を実行できるのである。しかし生体内・外の状況いかんによっては、固有受容器の情報処理と関節周囲筋の効果的対応ができるとは言えず、それが不安定感、転倒、捻挫、靭帯や関節損傷、骨折などを引き起こす場合も少なくない。さらに外傷を繰り返し、手湯の損傷後のギプス固定による関節内・外の組織の癒着と瘢痕化、手術操作そのものによる関節内・外の受容器への直接的浸入、荷重制限、長期臥床、老化などにより、下肢関節内・外の固有受容器は機能低下に陥り、情報の量的、質的低下をもたらし、関節周囲筋による効果的な動的関節制御機能が障害されてくる。それは筋肉の制御による反応時間の遅れとしても現れ、それだけ関節構成体に与えるストレスは増加する。身体の内・外部状況の変化に応じて、迅速かつ効果的に関節を制御させるためには、それに応じた訓練方法が必要で、予想できずに起こりうる変化へのフィードバック的対応としての反応制御の確立を目指す訓練が、この動的関節制動訓練である。この訓練は固有受容器より中枢神経系を経て、効果器である筋にいたる回路の機能を改善し、神経-運動器のより良い協調により、関節の安定化と外力や状況変化に即座に対応させる訓練である。
動的関節制動運動を早期より開始することにより、関節包、靭帯、筋、健の反応の質、適応力の改善と関節運動感覚の覚醒や固有感覚の回復、強化を図ることが可能である。下肢に起こりうる不意な状況変化に対する予測制御機能と反応制御機能の向上により、下肢関節はもとより、身体全体の運動制御機能の向上に最適の訓練であることを強調するものである。さらに、DYJOCトレーニングは、単関節のみならず身体の姿勢制御訓練を目指している。

・目的

①地面からの情報入力機能改善
②足指・足底把握訓練による身体制動能改善
③下肢・体幹の多関節連鎖下での多様な筋の促通
④神経―筋協調性の改善・向上
⑤不意な外力への対応改善、姿勢バランス獲得

・二大基本事項
①足指・足底把握訓練
足底荷重部位に存在する固有受容器の情報収集の活性化、地面上での足底部の掴みの摩擦効果と股関節・体幹機能連鎖による身体支持性の補強、足部アーチの安定化という大切な機能を果たすために重要である。

②半歩前荷重位・半歩後荷重位
半歩荷重位とは歩く・走る・跳ぶ・着地という立位動作の基本肢位である。半歩荷重位は不意な外乱が加わった場合の動的な制御補償が容易で捻挫や転倒による身体の損傷を防止・低下のために重要な肢位である。半歩前荷重肢位は、前脚の膝は屈曲し股関節を軽度外転して、しっかりと体重をかける。体幹と後脚は斜め一直線となり、かつ前脚の下腿と体幹の傾きが平行となるようにする。本肢位は、歩行の立脚期前半、階段を昇るときの前脚や走行時のスタート準備肢位に相当する。半歩後荷重位は、後脚は軽度膝屈曲位にて体幹と後脚を垂直にして、体重を十分に後脚にかける。この肢位は、歩行の立脚期後半、階段を下りるときの後脚やジャンプ着地時に観察できる。本肢位は膝が最高の機能を発揮する、いわば膝の動的機能的肢位でもある。また、半歩荷重肢位は不意な外乱が加わった場合の動的な制御補償が容易で捻挫や転倒による身体の損傷を防止・低下させるための重要
な肢位でもある。

・訓練原則

①足底からの情報を確実なものにするためには裸足で行う
②PTが患者や不安定板に抵抗を加える場合、最初は微小の外力で合図もとに行う
③不安定板はなるべく異なるタイプを用意し、色々な動揺を生じさせる
④身体の支持安定化筋として機能させるためには、早期からの閉鎖運動連鎖(closed kinetic chain)状態での訓練と荷重感覚の再教育が必要となる
⑤立位での訓練では最初は半歩荷重位⇒片脚立ちへと変化させる

・訓練方法

1)完全免荷期
足底の固有受容器により刺激を与え、荷重制限からくる固有受容器の機能低下を防止・改善すること、足指による把握能力を高めさせ、立位状態に備える。
・タオルギャザー…タオルやシーツを足底全体で掴むようにたぐらせる
・物掴み…ペン・ビー玉・おはじきなどの大きさの違うものを掴ませる
・足指ジャンケン…足指と足関節の柔軟運動
2)部分荷重期
荷重制限のある患者の大腿・下腿、不安定板に対する外力をPTが加え、即座に関節周囲筋が対応できるようにさせる。
・足指把握訓練…座位で床に足を置き、両足同時に10秒間保持する。これを20回繰り返す。
・不安定板…四脚キャスター型の不安定板の上に両足を乗せ、患肢の痛みと関節可動域制限に応じて、健側を中心に前後・左右・回旋方向に自動誘導する。
・ボール転がし…端座位で患肢の痛みと関節可動域制限に応じて、前後・左右・回旋方向
に自動誘導する。平行棒内や四脚杖での立位にてボールに足を置き、患
者自身でバランスを乱したりして対抗させる。
3)全荷重期
日常生活やスポーツ活動においての不意の状況変化に対応できる能力が必要であり、この
時期では体重という最適の低抗を利用しての全荷重訓練を行う。
・足指把握訓練…立位にて再度足指把握機能を学ばせる。これが下肢の筋群、特に膝伸筋と屈筋の共同収縮を起こし、膝関節を安定させる。自然の荷重での筋再教育・筋強化にもつながる
・半歩前荷重位・半歩後荷重位…この姿勢を学ばせる。PTは肩・骨盤・膝部などのあらゆる方向から外力を加え、抵抗させる。
・不安定板…色々な形の不安定板に乗り、患者自身が板上の重心の位置を少し変えること
で不安定状態をつくり、即座にその動揺性を制御し、バランス能力の向上を
目指す。

4)社会復帰期
訓練室以外での日常生活場面でも訓練が続行できるよう、忠者の状態に合わせてホームプログラムを指導する。例えば、バスや電車など交通手段を利用する際は、立位で乗ることを勧め、その揺れの中でのバランス保持と、発車、停車の際の加速、減速による異なった揺れに対応させる。最初は吊革を持ち、徐々に手を離したり、片脚起立や閉眼状態で試みさせ、下肢の動的安定性を高めさせる。

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