高次脳障害(主に失行、失認、失語について)

高次脳障害(主に失行、失認、失語)についての簡単レポートを理学療法士が公開していきます^^
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高次脳機能障害
 

定義

大脳皮質の障害であり、失行、失認、失語、痴呆、注意障害、記憶障害、遂行機能障害などの症状をいう。

高次脳機能障害の特徴

①前頭葉障害:遂行機能障害、情動障害、頬顔面失行、歩行失行
②頭頂葉障害:優位半球症状(観念失行、観念運動失行、構成失行、失読失書、ゲルストマン症候群)劣位半球(構成失行、着衣失行、半側空間無視、立体視障害、視覚的定位障害、動作維持困難、身体失認、病態失認)
③後頭葉障害:視覚失認、色彩失認視、視覚失調、純粋失読

失認

定義

視覚、聴覚、触覚などの感覚器に障害がなく、また意識や知能に障害が無いにもかかわらず、対象物の認知が出来ない状態

失認の種類

①物体認知障害:視覚失認、触覚失認、聴覚失認
②身体認知障害:手指失認、身体部位失認、左右失認、半側身体失認、病態失認、ゲルストマン症候群
③空間認知障害:視覚性空間定位障害、半側空間無視、地誌的障害

物体認知障害

①視覚失認
定義:視覚障害、半盲、視野狭窄などの感覚障害がないのに、視覚的に対象の認知ができない。
病巣:優位半球で後頭葉
検査:身近にいる人物の名前や、続柄を答えさせる。患者が熟知している種々の日用品や名前を示して、その名称や用途を答えさせる。色紙や積み木の色を答えさせて、識別および選択させる

②触覚失認
定義:表在知覚、深部反射、立体覚などに以上が無いのに、触覚的に物品を認知することができない
病巣:対側の頭頂葉縁上回
検査:患者に眼を閉じらせて、鍵、コインなどの日用品を握らせて、その物品名や用途を答えさせる

③聴覚失認
定義:聴覚に以上が無いのに、音の判別ができない
病巣:優位半球の上側頭葉後部
検査:患者に眼を閉じさせて、ベルの音などを聞かせて、それが何の音か、音の聞こえる方向はどちらかを答えさせる。左右の耳別々に検査する

身体認知障害

①手指失認
定義:手指の名称・識別・選択などができない
病巣:優位半球の頭頂葉
検査:検者が命じた手指を示させる

②身体部位失認
定義:全身部位の名称・識別・選択ができない
病巣:優位半球の頭頂・後頭葉
検査:検者が命じた全身部位を示させる

③左右失認
定義:身体の左右を正しく識別できない
病巣:優位半球の頭頂葉
検査:左手を右肩に、右手を左目にあてるように命じる

④半側身体失認
定義:自分の半側が認知できない状態。左側に出現しやすい
病巣;劣位半球の頭頂葉
検査:自分の半身に対して無関心あるいは無視してしまう

⑤病態失認
定義:自分の病気を否認するもので、半側身体失認に伴ってみられ、左片麻痺に出現しやすい
病巣:劣位半球の頭頂葉
検査:麻痺の存在を否定したり、入院の理由が分からない

⑥ゲルストマン症候群
定義:①手指失認
②左右失認
③失書
④失計算
病巣:優位半球の角回

空間認知障害

①視覚性空間定位障害
定義:外界の物体の認知が困難か不可能な状態
病巣:一側または両側の頭頂葉
検査:患者に何か物品を示して、その位置を確認させた後、患者に眼を閉じさせ、その物品があると思われる方向を指示させる

②半側空間無視
定義:大脳半球病巣と反対側の空間が認知できない状態。左側を無視するため道に迷う。食事を右半分だけ食べる。左側から話しかけても右側を探そうとする。
病巣:劣位半球の頭頂・後頭葉。左半側空間無視が多い。
検査:線分二等分テスト:あらかじめ印刷した横線を二等分させる
線分末梢テスト:あらかじめ印刷した短い斜線に、抹消したものに印を付けさせる。
図形模写:左右対称の図形や、非対称の図形を示し、形・大きさを同じように模写させる
横書き文の読み:あらかじめ印刷した文章を読ませる

③地誌的障害
定義:熟知しているはずの道に迷ってしまう道順の障害
病巣:劣位半球の側頭葉・後頭葉

失行

定義

麻痺、失調、痙直、固縮などの運動障害がなく、また、認知面に問題が無いにも関わらず、運動行為が正常に行うことができない状態をいう。

失行の種類

①肢節運動失行:手指失行、顔面失行、歩行失行
②観念運動失行
③観念失行
④構成失行
⑤着衣失行

肢節運動失行

概念:運動の企画は正常で、順序も正しく行われるが、簡単な動作の運動表像が不能となり、動作がのろく、ぎこちなくなったりする。熟知していた動作が拙劣となる。
病巣:左右いずれかの前運動野上部(病巣と反対側に出現)
①手指失行
定義:指先の巧緻運動が困難になる
検査:指を卓上でピアノを叩くように、順次屈曲させる運動を模倣させる。ボタンをはめる動作、鉛筆で字や絵を書く動作をさせる

②顔面失行
定義:自分では、笑ったりしかめたりするが、検者の指示に応じて笑い顔を作ったり、しかめたりすることができない
検査:閉眼させ、舌を出させたりする

③歩行失行
定義:足が床に吸い付いて歩けなくなったり、床から足を大きく離すことができなる状態。
検査:下肢を交互に出すように指示したり、ボールをける動作を真似させる

④観念運動失行
定義:命令を理解し、行為する意志を持っていながら、指示された単純な動作の遂行が不能となる。
病巣:優位半球の頭頂葉下部
検査:ジャンケンの手つきをさせたり、手で耳に触れるように指示する

⑤観念失行
定義:運動の企画ができなくなり、行為の手順が分からなくなった状態である。ここの動作は可能であるのに、目的にかなった行為はできない
病巣:優位半球、頭頂葉
検査:日常用いられている物品を正確に使えるかどうか

⑥構成失行
定義:日常の会話や動作がぎこちないのに、簡単な図形、三次元の図形の構成が困難になる状態である
病巣:両側半球の頭頂葉
検査:紙に△、□、○、船、家などの簡単な形をかけるか。マッチ棒で、三角,四角の図形を作らせる。積み木の三次元図形を模写して作られる

⑦着衣失行
概念:物体失認や古典的失行が無いのに、衣服を着たり脱いだりする
病巣:劣位半球の頭頂葉後部
検査:患者様の着衣を脱いだり、着たりするように指示する

失語

概念

優位半球の上側頭回後方のウェルニッケの感覚性言語中枢とその後上方の角回、縁上回を合わせた部位が後方言語野,下前頭回下部のブローカの運動性言語中枢を中心とする部位が前方言語野である。
この言語中枢が障害されることにより言語の表出、受容が障害されるのが失語である。

失語の種類

復唱○ 復唱×
流暢 超皮質性感覚性 ウェルニッケ
非流暢 超皮質性運動性 ブローカ
①純粋語聾(皮質下性)
②ウェルニッケ失語(皮質性
感覚性)
③超皮質性感覚性失語
④超皮質性運動性失語
⑤ブローカ失語(皮質性運動性)
⑥純粋語唖(皮質下性)

純粋語唖(皮質下性)

純粋感覚性失語ともいわれ、言語の理解だけが障害される。
そのために、復唱や書き取りはできないが自発語に異常はない。

ウェルニッケ失語(皮質性感覚性)

言語理解が悪く、単純な口頭命令にも応じられず、復唱もできず、読字も障害される。
時発語は流暢で多弁であり、メロディも抑揚も保たれているが錯語が著明で、ジャルゴンとなる。自発書字も錯書が多く、書き取りはできない。

超皮質性感覚性失語

言語理解と読字は障害されるが、復唱は良好である。
反響言語がしばしば見られ、自発語に語性錯語はあるが多弁ではない。

超皮質性運動性失語

発語は少なく、保続や反響言語をみることはあるが、比較的復唱は保たれ、言語理解、読字は良好。

ブローカ失語(皮質性運動性)

自発語は少なく、非流暢であり、復唱、呼称、音読、書字も障害される。

純粋語聾(皮質下性)

純粋運動性失語とも呼ばれ、自発語、復唱、音読は障害されるが、内言語は保たれ、言語理解、読字、書字は良好である。